こんなお話があります。
顧問の先生が非常に熱心な運動部に入ってしまったA子。
平日の練習時間も学校で一番長く土日は遠征が多い部活。
親の目から見ても勉強の時間があまり確保できておらず、成績も良いとは言い難いものだった。
そんな状況を見かねた親は、
うちの子にはこの部活と勉強との両立は無理だと判断。
レギュラーに選ばれるほど上手なわけでもなく、そこまで部活に熱心なわけでもなかったA子。
親の提案もあり部活を文化部に変えることにした。
文化部に鞍替えし、オフの日が増え、ずいぶんと自分の時間が増えた。
自由な時間がたくさんできて、A子がハマったのはアニメと漫画。
学校から帰宅して親が帰ってくるまでは、テレビでyoutubeやアマゾンプライムを堪能。
親が帰ってきたら、さすがにテレビを独占しているわけにもいかないので、スマホに切り替えて1日の制限時間いっぱいまで使う生活。
暇さえがあればアニメと漫画。
勉強をしに自分の部屋に行ったと思ったら、自分の部屋で漫画ばかり読んでいる。
親がたまに部屋をのぞきに行くと、かなりの高確率で漫画を読んでいるA子に遭遇。
本人はちょうど休憩中だったというが、遭遇率の高さからどう考えても集中して勉強はできていない。
漫画は次から次へと友達から借りてくるのできりがない。
文化部に変わり時間はできたのに、勉強の時間はほとんど増えていない。
むしろ時間があり過ぎてメリハリのない生活を送っている。
ダラダラしているように見える時間が増えた。
あれ?こんなはずでは・・・。
こんばんは。
塾長の一井です。
上記のようなもどかしいお話を
耳にすることは少なくありません。
ゲームを取り上げても、スマホを取り上げても、
思ったようには子供は動いてくれない問題。
結局のところ、何かを制限したり、取り上げるにしても、
やってほしいことの優先順位を上げる試みがないと成功しない。
そういう例です。
こんなブログを書いているのも、
先日、感染症の研究をされている方の講演を聞く機会があったから。
その講演の中で、
アフリカで病気で亡くなる子供たちを減らしたくて、子供たちに手洗いを促進させた地域の話がありました。
インフラが日本のように発展しておらず、水の使用にも制限がある地域。
もともと手洗いの習慣がないため、
専門家チームが、村を周り、手洗いの重要性を説き、正しい手洗いの方法を教えて、各家庭に石鹸を配布したそうです。
しかし、いくら手洗いの布教活動をしても、子供たちには手洗いの習慣が定着しない。
今まで自分が大丈夫だったからか、子供たちは手洗いを面倒臭がる。
そこで、頭を悩ませた専門家チームがとった作戦で、
最も効果があったものが・・・
『石鹸の中におもちゃを入れる』だったそうです。
手を洗って石鹸が小さくなると、おもちゃが出てくる。
裕福な国ではないので、小さなおもちゃでもかなり子供たちの心を掴んだようで、手洗いをする子が増え、結果的に例年と比較して病気になる子供の人数が減ったそう。
他にも、石鹸を使っていくと泡の色が変わる成分を混ぜたり、子供ウケを狙って石鹸を使うきっかけを与えていったとのこと。
きっと、おもちゃを入れる前から、
病気で親や兄弟を亡くした子や、過去に自分が病気になって辛い経験をした子などは、専門家が話してくれる手洗いの効果に価値を感じて、手洗いをはじめた子もいたとは思うんですよ。
でも、想像力が乏しいのが子供という生き物。
多くの子供は手洗いに価値を感じず、自分にとって必要なことと捉えなかった。
まぁ子供に限らず人間みんなそうですかね。
私もそうですがや痛い目を見てようやく学ぶ人が多いということでしょう。
手洗いをする効果を説いたり、
正しい手洗いの仕方を教えることよりも、
結果的には、「おもちゃ」が一番効果があったというオチ。
この話、勉強も似てるな。
なんて思ったわけです。
勉強する意味やメリットを説いたり、成績の上がる勉強法を教えることよりも、
違うアプローチの方が効果がある場合もある。という部分が。
我が子の勉強の優先順位が上がらない問題に悩んでいる方は、
今の我が子では、勉強の必要性を正論で説いても効果が薄いってことでしょう。
その場合は、我が子にとっての「おもちゃ」に該当するものを考えて、試し続けるしかないんでしょうね。
子供たちが、何をきっかけに勉強の優先順位を上げてくれるのか、正直なところ正解はわかりませんし、全員に当てはまる正解はないと思います。
二人のお姉ちゃんがいたある子は、賢い姉と賢くない姉の高校の規則を比較して、賢い姉の学校の方が規則が緩く髪型やカバンが自由で可愛くて自由な女子高生をしている!と、中2頃から勉強モードに突入しました。
また別の子は、オープンハイスクールが相当楽しかったようで、絶対に〇〇高校へ行く!と頑張りだしました。
尊敬している先輩と高校でも同じ部活に入って一緒にプレーしたいから受験勉強を頑張った。そんな子もいましたね。
お小遣いUPや、ご褒美に何かを買ってあげるといったものは一時的な効果はありますが、なかなか持続しないというのも事実。
上記のような本人の内側に火がつく何かを見つけてあげた方が持続力はあるとは感じます。
それを見つけるのが難しいのは重々承知ですが…><
親にとっても、塾という場所にいる私たちにとっても永遠のテーマですね。
頭を悩ませるテーマですが、模索を続けてまいりましょう。
では、本日はこの辺で( `ー´)ノ