こんにちは。
塾長の一井です。
今日は、面談や日々の会話で度々出てくる、あるフレーズについてお話しします。
それは、
「自分のペースで勉強したい」という言葉です。
一見、とても前向きで、自立しているようにも聞こえます。
誰かに管理されるのではなく、主体的に進めたい。
そう思うこと自体は、むしろ自然な感覚でしょう。
ですが、本当に“成長につながるペース”になっているかどうかは、一度立ち止まって考える必要があります。
「自分のペース」という言葉の正体
誤解を恐れずに言うならば、成績が思うように伸びていない時に出る「自分のペース」という言葉は、多くの場合、「自分にとって心地よい(負荷の少ない)ペース」を指しています。
- 課題に追われたくない。
- 厳しい時間制限を避けたい。
- 苦手科目より、好きな科目・得意科目を優先したい。
一方で、全体的に力を伸ばしている生徒はどうでしょうか。
彼らは「自分のペースでやりたい」とは口にしません。
なぜなら、塾や学校のペースが「ぬるい」と感じれば、言われなくても先々のワークを進め、未習単元を自習し、検定試験などを利用して自ら負荷を上げていくからです。
つまり、結果が出ている生徒にとっての「自分のペース」とは「基準を上げるもの」であり、結果に苦しんでいる生徒にとってのそれは「基準を下げるもの」になってしまっているケースが少なくないのです。
なぜ、一人で「基準」を保つのは難しいのか
「自分のペースが甘いのなら、家で一人で気合を入れ直せばいいのではないか?」という言い分もあるとは思います。
しかし、それができる中高生はごく稀です。
なぜなら、人間は本能的に「楽な方」へ流れる生き物だからです。
一人で勉強していると、どうしても「今日はここまでやったから十分だろう」という主観的な満足感がゴールになってしまいます。
だからこそ、大切なのは「強い意志」ではなく「環境」です。
悠学舎が、いつ来ても自習ができる環境を整え、
あえて自習対応専用の人員を配置しているのはそのためです。
自習中に得意科目ばかりに逃げていたら、あえて小言を言います。
学習時間が短ければ、「もう帰るのかい?」とチクチク(笑)言わせてもらっています。
それは、本人の「基準」を底上げしてほしいからです。
もちろん、最初の一歩である「塾に来る」という決断だけは、本人の意志が必要です。
しかし、一度その環境に身を置けば、あとは環境が背中を押してくれる。
まずは環境の力を借りて、「やるべきことをやり切る自分」を育てていくのです。
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冬期講習会のタイミングで入会したある中1の生徒、
昨日が、初めての定期テスト前カンヅメ勉強会への参加でした。
4時間程経った頃に、「手が痛いです」とぽつり。
2学期まで“自分のペース”で勉強してきたものの、成績が思うように伸びず、塾に来た生徒です。
周りが淡々と勉強している中、右手を振りながら「疲れました」と言う姿。
それは、これまで自分にかけてきた負荷がいかに小さかったかを、彼自身が実感した瞬間だったと思います。
でも、これは悪いことではありません。
ここから変わればいいのです。
成長できるペースを身につけるために、まずは環境を変える。
そこから、少しずつ負荷のかかるペースを自分のものにしていく。
春は1年の中でも、気持ちを新たにしやすい季節です。
心地よいペースではなく、成長できるペースを意識して学習を進めていきましょう。

