先日、お昼過ぎに1本の電話が鳴った。
昼にかかってくる電話の10本中9本は営業電話なので、
どうせ何かの営業でしょ~。と思いながら電話に出た。
案の定、営業の電話でしたが今の教育業界の流行っぽい内容だったので少し気長に話を聞いてみた。
営業内容は、
タブレットで勉強をする商品を取り扱っている会社で、
生徒の間違いの傾向をAIが自動で分析して、
それを元に自動でやるべき問題が選ばれて、
それを繰り返すだけで成績が上がるそうだ。
悠学舎も導入しませんか?と・・・。
AIを活用した学習の代表格として
atama+がここ最近流行っていますし、
時代の流れ的に学習教材もそういう方向に向かっていますよね。
仕組み自体はすごいと思うし、
成績を上げることが塾の使命なんだし、
個々人に合わせた学習が
効率的な勉強法であることに異論はありませんが、
果たしてその勉強法って、
本当に子供たちのためになるのか?
と、思いながら聞いていた。
(そもそも、AI学習で効果が出てます!という広告は見るけど、知り合いでAI学習で効果が出た人を一人も知らないのですが…。)
仮に本当にそれで成果が出るとして、
AIはいつまでうちの子の面倒を見てくれるの?
中学?高校?大学?
AIに指示された通りに、
与えられたものだけを淡々とこなしていった結果、
ぐんぐん成績が上がるなら、
その結果にたどり着くための作戦を考えない人にならない?
それってどうなの?
解けなかった問題から、自分はどの単元・分野が弱いのか?
どんな知識が足りなかったのか?
どこに遡ってやり直すべきなのか?
どれぐらい繰り返せば自分は覚えられるのか?
そういうのを自分の頭で考えてやってみて、
うまく結果に繋がれば喜んで、
思惑が外れたらまた別の手を考えて、
そうやって試行錯誤することが大事じゃないの?
理想論?綺麗事?かもしれませんが私はそう思う。
そう思うし、塾生にもそれを求めている。
学生のうちに自分に合った勉強の仕方やテストで点を取るための作戦を学んで、
それを大人になって資格試験を受ける時や仕事に活かせればベスト。
学生のうちに、
結果が出るプロセスを学ぶことが大事だと思う。
むしろ、そっちを学ぶことが大本命。
大人になったら、
自分で何とかするしかないよ?
いつまでも親は助けてくれないし。
AIに「次はどうすればいい?」なんて聞けないし、
「これだけやっていれば完璧!」みたいな仕事はなくて、
何が正解かって立場や時と場合によって変わる。
文字通り「何とかする力」は必要だと思うよ。
そういえば先日、矛盾だらけの現場に遭遇した。
松本先生と一緒に「公立高校入試の傾向分析会」に出席しまして、
教材会社が主催となって、全国の高校入試事情に詳しい講師の方を呼んでセミナーが行われたんです。
会場は、
5階:売れ筋・おすすめ教材の展示会場
6階:高校入試の分析セミナー
という会場構成になっており、
6階でセミナー講師は
「大学入試も高校入試も知識ではなく思考力が問われる問題が増えている傾向にある。
国語だけでなく数学や理科でも読ませる問題が増えており、文章を読み解く力がなければ高得点は狙えない。
高校でも論理国語という教科が新課程で追加され、文章を論理的に読む力が要求されている。」
と熱弁をされている一方で、
5階の展示会場では、
「この問題集はすべての問題に解説動画がついています!一人で勉強できますよ!」
と新しい教材のアピールをしている。
最近の教材は以前よりも
子供たちが「文章を読み込まなくても理解しやすい方向」に舵を切っている。
これは「解説を読んでも理解できない子が増えていること」と「技術の進歩」が悪い意味でマッチしてしまった結果なんだろうな。
いや~。
ねじれていますね。試験と教材の方向性が。
この状況、
例えるなら、
自転車のレースに出ることが決まっている子供(5歳児)が、
転んだら可哀想だから。
上手く乗れなくて自転車が嫌いになったら困るから。という理由で、
普段は補助輪を付けて「乗れるようになったね!」と自信をつけた状態で、
いざ、レースの瞬間になったら、補助輪の付いていない自転車に乗らされる感じ。
乗れないよね。
転ぶよね。
惨めな思いするよね。
そんなレース会場に、補助輪なしの自転車でスイスイと進んでいく同級生がいる。
ひざにはコケた擦り傷もあるし、自転車も転倒したのか傷がついている。
身体と自転車はボロボロでも、ゴールに向かって力強く進んでいく。
練習中に怪我しても辛くても、本当に自転車に乗れるように練習してきた子の姿がこれですよね。
本番より練習の方がしんどいし辛い。
それが本来のあるべき姿。
勉強も一緒。
逆でいい結果が出ることなんて有り得ない。
語弊がないように言っておくと、
私は動画で学ぶことが悪いとは思わない。
教材会社が作成しているものだってyoutubeにだって、分かりやすいものがたくさんある。
それこそ、スタディサプリやyoutubeで予備校講師の授業が無料で受けれるなんて、ひと昔前ならあり得ないことだ。
うちの高校部も映像授業を入れている。
でも、動画を眺めているだけじゃ絶対に伸びないと断言できるし、
動画の解説が増えてきている今こそ、
面倒臭くても、解説(文章)と睨めっこして「どういうことやねん!意味わからんぞ。」って考えて、
うーん。って悩みながらペンを動かしてたどり着く答えには、
その1問がわかるようになること以上の価値がある。
そういう時代になってきているな。と思う。
うちの塾生には、
「自分の頭で考える」
「自分で考えて何とかする」
という根っこの部分が強い人に育ってほしい。
塾なので、
塾生の成績も上げたいし、
受験においては合格も目指すけど、楽な方に逃げさせるつもりはない。
自分のことでしょ。
自分でどうすべきか考えて、行動に移しなさい。
いつでも相談には乗るからさ。
そういうスタンスで頑張らせたい。
AI学習の営業電話を受けて、そんなことを思ったのでした。
AI学習を批判するような内容を書いてしまいましたが、
抜群に結果が出るものがあるのであれば、お目にかかりたいという気持ちはあります(´ー`*)
特に勉強が苦手な子はAIに頼ってでも点がとれて自信が付けば儲けものですし♪
では、本日はここまで!